冬の寒空の下に、高校球児の声が響いています。この日訪れたのは、西宮市立西宮高等学校。前日に阪神園芸の皆さんが機械を入れて整備したグラウンドで、生徒たちが練習を行っていました。
一通り練習をした後に、いよいよグラウンド整備の指導がはじまります。用具を手に、ベース周りやマウンドで練習した跡を見ながら、どのようにグラウンドの土が動いているのかを説明し、実際にやって見せながら整備方法を伝授。自分たちが目標としている甲子園のグラウンドキーパーから教わるのですから、生徒たちも真剣そのもの。トンボやブラシなどの用具を使って土をならしたり、シューズで踏み固めたりしながら、質問を交えつつ熱心に話を聞いています。
実は市立西宮高校に阪神園芸の皆さんが来るのはこれで2回目。昨年も同じようにグラウンド整備とその指導をしたそうです。阪神園芸の方に今年のグラウンドのコンディションを伺うと、「昨年と比べると、グラウンドのコンディションは良くなっています。一年間、教えたことを守ってくれたんだなと嬉しくなりますね。ただし、やはり行き届いていないところはあります。1日や2日の整備が不十分であっても取り返すことはできますが、それが半年、1年と積み重なってしまうとグラウンドはガタガタになって、重機を入れ、大幅な改善を行わなくてはらない。そうならないためにも、今年もしっかりと整備の仕方、グラウンドの状態の見方を覚えてほしいですね」と話してくれました。
一時間ほどの整備指導の後、「阪神園芸さんが整備した後は、土が柔らかくなって打球がイレギュラーしなくなりました。これからも今日教わったことを守りながら、いいコンディションで練習をしていきたいです。もちろん、目指すは甲子園です」と話してくれたのは野球部のキャプテン。
最後は、阪神園芸の方が再びトラクターを使って仕上げていきます。終わった時には、足を踏み入れるのがもったいないくらい綺麗に整えられたグラウンドが出来上がりました。聞くと、このグラウンドで明日、引退した3年生との最終試合を行うとのこと。みんなこの綺麗なグラウンドでプレーするのを楽しみにしているそうです。
礼儀正しく、まっすぐな目をして嬉しそうに語る生徒さんを見ながら、今日の経験が生徒たちの良い思い出として、そしてこれから甲子園を目指す力になれば、と思った取材でした。 |