ゆめ・まち隊の突撃レポート

阪神園芸
「高等学校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア」
第15回は日本高等学校野球加盟校で、グラウンド整備・指導を行う「阪神園芸」の活動をご紹介します。
(本ページの内容は、2010年3月時点のものです)

甲子園の整備を全国の高校へ
阪神甲子園球場を始めとしてスポーツグラウンドの管理・整備や芝生、造園工事を手がける阪神園芸。現在、甲子園の整備で培った経験と技術を活かして、日本高等学校野球連盟(高野連)加盟校にボランティアで整備に赴き、整備方法を伝える活動を行っています。そのはじまりとなったのは2007年。ちょうど甲子園の大幅なリニューアル工事がきっかけでした。
「以前より、野球部の監督などからグラウンドに関する相談を受けていました。高校生ともなれば毎日ハードな練習をしますから、すぐにグランドは荒れてしまいますし、適切な整備を続けていないと雨天時にすぐ水がたまってしまいます。こうしたグラウンドの整備で悩んでいる高校は多いんです。そんなときに、甲子園のリニューアル工事が始まりました。もちろん工事期間中も球場の維持管理は行いますが、イベントなどに伴う大掛かりな整備が必要でなくなったのを利用して、高校でのグラウンド整備と整備指導を始めようと考えたんです。当初は工事期間の2年のみと考えていましたが、たいへん喜んでいただき要望も多かったため、工事終了後もできる範囲で続けていくことにしました」。こう語るのは阪神園芸で長年グラウンド整備に携わる金沢さん。
高等学校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア01
阪神園芸の金沢さん

グラウンドキーパー、高校球児のもとへ
これまで阪神園芸は、関西だけでなく要望があれば四国や関東にも赴き、全国30を超える高校のグラウンドで整備、指導講習を行っています。
「グラウンド整備指導は、4人ほどのグラウンドキーパーが赴き、普段はできない機械での本格的な整備や、最も大事になってくる日常の整備指導など、2~3日かけて行っています。遠方の場合の輸送費や交通費等の実費のみはいただいていますが、人件費や技術料は無償のボランティアで実施しています。」と語る金沢さん。グラウンド整備の要望は、京阪神だけでなく栃木や長野といった遠方からも寄せられるそうです。
「これまで依頼をいただいている高校は、ある程度グラウンドの状態に気を使っているところが多く、それほど状態が悪いというところはありませんでした。それでもやはり、私たちが整備を行うと打球のイレギュラーバウンドは少なくなると言っていただいています。生徒達にはまず、私たちが整備したグラウンドで練習をしてコンディションの違いを知ってもらいます。その上で、自分たちが練習をした後の土の動きなどを考えさせながら、一緒に整備をして、整備方法を指導していくんです。やはり野球が本当に好きな子達ばかりですから、整備のコツの飲み込みが早いですね」。
高等学校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア02
特殊な車両なども搬入して作業を行う

グラウンドへの敬意と愛着
グラウンドの良さに定評がある甲子園。しかし、長年にわたってこのコンディションを作り上げてきた阪神園芸には、整備方法に関する完璧な「マニュアル」はないと言います。
「季節や天候、使い方によってグラウンドのコンディションは毎日変わります。常にその日のグラウンドに愛着を持って、どうしたらよい整備ができるのかを自分の頭で考えることが重要です」。金沢さん達グラウンドキーパーは、高校での整備指導の時も、グラウンドに対して愛着を持って、グラウンドを見ることを生徒に教えるといいます。
「選手にとって、グラウンドの状態は捕球の質につながります。イレギュラーが起こってエラーをすれば負けることもある。思わぬ怪我をすることもある。そうしたことを生徒一人ひとりが理解して、毎日自分のできる整備を積み重ねていくことが重要なんです。これは甲子園でも高校のグラウンドでも変わりません。野球の試合は、グラウンドに入る時に帽子をとって一礼しますよね。その気持ちを持ってグラウンド整備もして欲しいと思います」。
高等学校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア03
高等学校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア04

待っている高校球児がいる限り
これからもこの活動を継続していきたいと語る金沢さん。「リニューアル工事中と同じペースで活動するのは難しいですが、グラウンド整備で悩んでいる高校があれば、できる限りの支援はしていきたいです。グラウンド整備後に生徒や監督達と阪神の選手や高校野球の話などを、熱く語り合うことなどもあり、私たちにとっても、こうした交流を楽しみにしています。グラウンド整備に赴いた高校が、翌年31年ぶりの甲子園出場を果たした、なんていう嬉しい出来事もありましたよ。高校の中には、甲子園の整備を行っている企業ということで、敷居が高いと思っている方もいるようですが、もっと気軽に依頼をいただけたら嬉しいですね」と笑顔で話してくれました。
高等学校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア05

行ってきました!社会貢献担当の当日レポート 阪神園芸「高等学校野球連盟加盟校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア」

高等学校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア06冬の寒空の下に、高校球児の声が響いています。この日訪れたのは、西宮市立西宮高等学校。前日に阪神園芸の皆さんが機械を入れて整備したグラウンドで、生徒たちが練習を行っていました。

一通り練習をした後に、いよいよグラウンド整備の指導がはじまります。用具を手に、ベース周りやマウンドで練習した跡を見ながら、どのようにグラウンドの土が動いているのかを説明し、実際にやって見せながら整備方法を伝授。自分たちが目標としている甲子園のグラウンドキーパーから教わるのですから、生徒たちも真剣そのもの。トンボやブラシなどの用具を使って土をならしたり、シューズで踏み固めたりしながら、質問を交えつつ熱心に話を聞いています。

実は市立西宮高校に阪神園芸の皆さんが来るのはこれで2回目。昨年も同じようにグラウンド整備とその指導をしたそうです。阪神園芸の方に今年のグラウンドのコンディションを伺うと、「昨年と比べると、グラウンドのコンディションは良くなっています。一年間、教えたことを守ってくれたんだなと嬉しくなりますね。ただし、やはり行き届いていないところはあります。1日や2日の整備が不十分であっても取り返すことはできますが、それが半年、1年と積み重なってしまうとグラウンドはガタガタになって、重機を入れ、大幅な改善を行わなくてはらない。そうならないためにも、今年もしっかりと整備の仕方、グラウンドの状態の見方を覚えてほしいですね」と話してくれました。

高等学校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア07 一時間ほどの整備指導の後、「阪神園芸さんが整備した後は、土が柔らかくなって打球がイレギュラーしなくなりました。これからも今日教わったことを守りながら、いいコンディションで練習をしていきたいです。もちろん、目指すは甲子園です」と話してくれたのは野球部のキャプテン。

高等学校へのグラウンド整備・整備指導ボランティア08最後は、阪神園芸の方が再びトラクターを使って仕上げていきます。終わった時には、足を踏み入れるのがもったいないくらい綺麗に整えられたグラウンドが出来上がりました。聞くと、このグラウンドで明日、引退した3年生との最終試合を行うとのこと。みんなこの綺麗なグラウンドでプレーするのを楽しみにしているそうです。

礼儀正しく、まっすぐな目をして嬉しそうに語る生徒さんを見ながら、今日の経験が生徒たちの良い思い出として、そしてこれから甲子園を目指す力になれば、と思った取材でした。





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