2人の若手が挑む前例のない都市計画。
うめきたから世界をリードするまちづくりを!

#3 うめきた2期計画

金部 耕平

2012年入社
阪急阪神不動産(株) 開発事業本部 うめきた事業部/課長補佐

阪急阪神ビルマネジメント(株)うめきた開発部、うめきた営業部にて「グランフロント大阪ショップ&レストラン」開業前準備業務、運営管理業務に携わる。その後、阪急阪神不動産(株)の所属となり、うめきた2期地区開発事業のコンペ準備業務を担当。2018年7月のコンペ当選後は同事業の商業エリアの計画推進業務に携わる。

中野 草太

2016年入社
阪急阪神不動産(株) 開発事業本部 うめきた事業部

阪神電気鉄道(株)不動産事業本部開発営業室にて「エビスタ西宮」など沿線商業施設のリニューアルに伴う商業企画・テナントリーシング、沿線活性化イベントの企画運営に携わる。その後、阪急阪神不動産(株)の所属となり、「神戸阪急ビル」建て替え計画など阪急沿線の商業案件を担当。2020年4月よりうめきた事業部に配属され、うめきた2期地区開発事業の公園・エリアマネジメントの計画推進業務を担当する。

※掲載情報は取材当時(2020年)のものです。

Prologue

2013年春に開業した「グランフロント大阪」に次ぐ都市開発計画となる【うめきた2期地区開発事業】。『みどりとイノベーションの融合拠点』というコンセプトのもと、西日本最大のターミナルであり、阪急阪神グループの最重要拠点である「梅田」を舞台に、約9haもの広大な敷地にオフィス・商業・住宅・ホテル・公園・中核機能を担うプラットフォーム施設やイノベーション施設を複合的に開発するのがこのプロジェクトだ。阪急阪神不動産(株)は「グランフロント大阪」の開発に携わり、これまでの大阪にはなかった都会的で洗練されたライフスタイルの提案を実現した。同社はその実績を生かして本プロジェクトのコンペに臨み、晴れて当選。開発事業者JV(共同企業体)9社の1社となり、商業エリアおよび公園・エリアマネジメント等の主幹事を務めている。

今回お話を伺った金部さんは商業エリアを、中野さんは公園・エリアマネジメントを担当する若手社員。特に金部さんは入社以来、うめきた開発に携わってきた人材であり、【うめきた2期地区開発事業】のコンペ当選を支えた立役者の一人でもある。当選までの経緯も伺いながら、現在のお2人の仕事内容、やりがい・苦労、そしてこのプロジェクトに懸ける想いに迫りたい。

※「みどり」:誰もが容易にアクセスできる緑豊かなオープンスペースのこと

積み重ねた経験と挑戦したいという意欲が
ビッグプロジェクトへの扉を開いてくれた

国内最大級の開発規模を誇るプロジェクトに、金部さん、中野さんはどのようにして参加することになったのだろう。

中野
金部さんは入社以来、うめきた開発に携わり、今回もコンペ提案から担当されたんですよね。
金部
入社した翌年の春に「グランフロント大阪」のグランドオープンが控えていたので、半年ほど開業前の準備業務に携わり、運営計画書の作成や入店説明会の準備などを行いました。開業後は運営管理業務としてテナントの営業支援や販促などを経験。コンペに参加するための提案書作成業務に携わったのは、入社6年目の冬ごろからです。
中野
コンペで当選するためにどんな工夫をしたのですか?
金部
「グランフロント大阪」の成功例から学び、普遍的需要と将来的需要の2つのニーズを満たすことを念頭に提案書作成に取り組みました。また、コンペでは人目を引く華やかさも必要なので、イマジネーションを掻き立てるような空間づくりとそれをいかに実際のサービスに落とし込むかをチームメンバーと連日、試行錯誤していましたね。非常に大きなプロジェクトですし、社内外からの期待も感じていたので当選が決まった時はホッとしました。中野さんはもともと都市計画に興味があったんですか?
中野
私は入社から4年ほど商業開発一筋だったので、そろそろ商業以外の分野にも携わりたいと思っていて。上司に「ゆくゆくは梅田の開発案件に挑戦したい」と伝えていたんですが、有難いことにその願いが叶いました。また、私の卒業論文のテーマが【うめきた2期地区開発事業】だったので、辞令が下りた時はご縁を感じて素直にうれしかったです。

押し寄せる課題に立ち向かう日々。
一筋縄ではいかないからこそおもしろい。

商業エリアと公園・エリアマネジメント、担う仕事それぞれに苦労はあるようで……。立ちはだかる壁にお2人はどのように挑んでいるのだろう。

金部
このプロジェクトは規模の大きさもさることながら、敷地の半分を占める約4.5haもの都市公園や、産官学が一体となった国際競争力を高めるまちづくりが注目を集めていますよね。そんな公園やエリアマネジメントを担当している中野さんの現在の業務について紹介してください。
中野
私が携わるのは公園・エリアマネジメントの計画推進業務で、主に公園および公園内に建設する施設の設計・企画検討・収支計画や、開業後のパークマネジメント・エリアマネジメントの運営体制の検討などです。公園といっても住宅街の公園とは違い、私たちが手掛けるのは高層ビルが立ち並ぶ都会の駅前にできる公園。しかも4.5haもの巨大な公園をつくる仕事は当社を含めた他の事業者も、計画や工事を許可する行政も、誰も経験したことがない未知の領域になります。
金部
なるほど。では、やっぱり苦労も多い?
中野
そうですね。都会のオアシスとなる公園の価値を最大化すべく、多岐にわたる行政制度の有効活用や公園の魅力・収益性の向上、公園の運営管理方法について検討していますが、参考事例も極端に少ない上に正解のない仕事なので手探りで奮闘している状況です。ニューヨークのブライアントパークなどの海外事例を参考にしたり、開発区域に隣接する敷地を暫定利用して屋外型実証実験場「うめきた外庭SQUARE」として公園運営を見据えたトライアルをしたりしながら、公園の付加価値や周辺地域との相乗効果を高められるよう計画を推進しています。次は、金部さんの現在の業務についてもお伺いしたいです。
金部
私は商業エリアの企画・設計・立案業務の進行役を担っています。目指しているのはお客さまに施設内を回遊する楽しみを提供できるような空間づくりで、目的の場所以外に新たなお店を発見する喜びも合わせて実現できたらと思っています。しかし、トレンドの流れが速い商業マーケットを踏まえた基本計画の立案は想像以上に難しく、マーケティングによる推察は行うものの、建物そのものや設備、仕様を決定する過程で周囲の理解を得るのがなかなか難しくて。
中野
JV9社という共同事業体ならではの難しさ、ということですか?
金部
そうなんです。商業エリアは特に個人の感覚や好みが分かれやすいため、それぞれの意見を聞きながら自身の考えを理解いただく難しさを痛感しています。だからこそ、熱意をもって説明することを心掛けています。

まだ誰も成し遂げたことのないまちづくり。
電鉄系デベロッパーの醍醐味がここにある。

一世一代の大仕事といっても過言ではないプロジェクト。そんな【うめきた2期地区開発事業】に全身全霊を傾ける2人の目標、いや覚悟に耳を傾けてみよう。

金部
中野さんは2020年4月からこのプロジェクトに参加したわけですが、これまでの仕事を通じて成長したと感じる点はありますか?
中野
他のメンバーに比べてまだ担当期間が短いので、経験値と言えるほどのものはありませんが、本プロジェクトは通常の開発案件に比べて関係者、例えば当社以外の開発事業者8社や設計会社、ゼネコン、行政、学術研究機関、テナントなどが圧倒的に多いんです。そのため合意形成のプロセスが過去の担当プロジェクトよりも複雑かつ長期的になり、より高度な論理構築力や熱量、周囲を巻き込み推し進める力が重要になっています。この仕事を通じて最も鍛えられているのは、物事をやり遂げる「胆力」かもしれないですね。金部さんはどうですか?
金部
私は「お客様原点」で物事を考える力が磨かれていると感じます。極論を言えば、開発事業は自分の判断で自分が理想とする施設や街をつくれてしまう仕事ですが、だからこそ「お客様原点」、即ち「すべてはお客様のために」という視点で物事を考えることが重要だと思っています。
中野
確かにそうですね。私もこのプロジェクトに携わって、改めて目標に掲げていることがあって。人々は新型コロナウイルス(感染症)を経験して、移動・消費行動・働き方などの生活様式や価値観が急速に変化しましたよね。こうした現状を踏まえ、ニューノーマル時代における都市のライフスタイルを見据え、うめきた2期の顔となる公園の魅力の深度化、社会的価値の向上を図り、うめきた2期ならではの提供価値を構築していきたいという思いが高まりました。
金部
確かに、新型コロナウイルスの影響によって、公園の価値や重要性が再認識されましたね。中野さんはうめきた2期開発を通して、梅田をどのような場所にしたいと考えているんですか?目標を教えてください。
中野
梅田のイメージを覆すようなシンボリックな空間を実現したいですね。大阪難波といえば道頓堀が思い浮かぶように、梅田といえばうめきたの公園というように、梅田の新たな象徴となる場所にしたいんです。金部さんはどんな目標をお持ちなんですか?
金部
私はこのプロジェクトを通じて、自分のキャリアや経験してきたあらゆること、大変だったことや印象に残っていること、感動したことなどのすべてを塗り替えたいと思っています。それはつまり、どんな苦労があったとしても、必ずそれらを乗り越え、乗り越えた先でしか得られない感覚を味わいたいということ。それらを味わうためならどんな苦労も厭わず挑み続けるというのが私の目標、いやこのプロジェクトに対する決意表明だといえるかもしれません。

Epilogue

胸に秘めたプロジェクトへの熱い想いを語ってくれた金部さんと中野さん。これまでの経験を糧に、2人はきっと大阪・関西で、日本で、また世界でも類を見ない魅力的なまちを実現してくれるだろう。

【うめきた2期地区開発事業】は2024年夏ごろに先行まちびらきが、2027年度にはうめきた2期地区の全体開業(予定)が控えるほか、周辺地域では新駅計画も進んでおり、2023年春には「うめきた地下駅」が完成し、2031年には「なにわ筋線」の開通も予定されている。また、将来的には阪急電鉄(株)による「なにわ筋連絡線」「新大阪連絡線」の計画もあり、注目度はますます高まるだろう。こうしたダイナミックな開発に携われるのは、まさに電鉄系デベロッパーならでは。若手のうちから幅広い経験を積みたい人材にはもってこいの環境だ。