ゆめ・まち隊の突撃レポート

阪急阪神交通社ホールディングス
「『篠山宮代』での森林保全ボランティア活動」
第12回は、阪急阪神交通社ホールディングスが実施する「森林保全ボランティア活動」の中でも、兵庫県篠山市での間伐作業の様子を中心に取材しました。
(本ページの内容は、2009年12月時点のものです)

日本各地で起こる森林の危機
阪急阪神交通社ホールディングスの森林保全活動は今年で2年目。昨年秋に多摩川の源流の山梨県小菅村で、従業員ボランティアによる森林保全のための間伐作業がスタートしました。今年は小菅村に加えて、兵庫県篠山市の宮代地区でも活動を実施しています。
この活動の背景には、日本の国土のおよそ67%を占める森林の危機があると、阪急阪神交通社ホールディングスの米原さんは語ります。「一見すると緑豊かに見える日本の山々ですが、木材から石油への燃料の転換や、輸入木材の増加による人工林の放置などによって、多くの森が荒廃しています。原生林とは違い、昔から薪や材木などに利用してきた里山の森は、人が間伐などで手を加えなければ、地面まで太陽の光が差さない暗い森となり、枯れてしまうのです」。
また、環境面からも森には大切な役割があるそうです。「森は二酸化炭素を吸収するだけでなく、水を蓄えます。森が枯れてしまえば二酸化炭素の増加によって温暖化が進むだけでなく、水を蓄えられなくなった山の土砂が崩れたり、洪水が起きたりといった災害につながります。川へ流れ込む土壌の養分が変化することで漁業資源にも大きな影響を与えます。森を守ることは、私たちの生活を守ることにもつながるのです。」
森林保全ボランティア活動画像1
阪急阪神交通社ホールディングス
米原さん

企業と地域の結びつきが生むボランティア
山梨県小菅村では、地元の行政、東京農業大学との産官学の連携の下、間伐ボランティアを実施。宮代地区での間伐作業にあたっては、兵庫県丹波県民局、篠山市、宮代自治会と4年間の「篠山宮代の里森林保全協定書」を結ぶなど、阪急阪神交通社ホールディングスの森林保全ボランティア活動は、地域と協力した継続的な取り組みを目指しています。
間伐ボランティア前に行われた「篠山宮代の里森林保全協定書」の締結式では、地域と企業が力を合わせて森林保全に取り組んでいくことを宣言。酒井篠山市長は「これから共に森林保全に取り組んでゆく中で、この宮代が阪急阪神交通社ホールディングスグループの皆さんの“第2の故郷(ふるさと)”になればと願っています」と語り、同社の小島社長が、「CSR(企業の社会的責任)の一環として、この地で森林保全活動に従業員とともに取り組んでゆきたい。従業員の皆さんは、今日の体験を会社に戻って周りに伝えて欲しい」と応えました。
森林保全ボランティア活動画像2
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自発性を持つ従業員の育成
今年の森林保全活動には、阪急阪神ホールディングスグループ各社より、各回約50名の参加者が集まりました。従業員のボランティアでの参加について、米原さんは次のように語ります。「今回自発的に社会貢献活動に参加してくれる方がこれだけいてくれたことはうれしいですね。率先して行動を起こすことのできる従業員を育てることは、事業にとっても大きな力となるはずです。また、地域に生きる企業として地域の問題に関心を持った従業員の存在も大切です。1日の間伐作業で森林保全のためにできることは少ないですが、私達の活動は参加者に森林の現状をレクチャーして、なぜ間伐が必要かということを知ってもらっています。参加してくれた従業員が、会社や家族に帰って、日本の自然への理解の輪を広げてくれたらいいですね。」
阪急阪神交通社ホールディングスでは、今回のように従業員を対象とした社会貢献活動をモデルケースに、一般の方も気軽に参加できる社会貢献のプランを検討していくとのこと。企業と地域の強い結びつきで豊かな森を取り戻すこの活動は、これからもますます発展してゆきそうです。
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行ってきました!社会貢献担当の当日レポート 阪急阪神交通社ホールディングス「『篠山宮代』での森林保全ボランティア活動」

森林保全ボランティア活動画像7秋晴れの活動当日。早朝のバスターミナルには、参加者の阪急阪神交通社ホールディングスグループの従業員やそのご家族が、集まっていました。和気あいあいとした様子の皆さんとバスに乗り、梅田から兵庫県篠山市まで向かいます。

篠山宮代に到着すると、そこには稲干しされた畑や紅葉の里山の風景が広がり、参加者の方々も気持ちよさそうに深呼吸しています。到着後は、関係者と参加者が一同に会したオープニングセレモニーと、「森林と林業」というテーマで日本の森の抱える問題についてのレクチャーが行われ、間伐作業の意義を再確認。そしていよいよ、各自のこぎりとヘルメットを装着して、今までの小旅行気分が一変。姿もさまになったところで、森林保全作業の開始です。

皆さん勇んで山に入っていきましたが、持ち場によっては、作業場が足を踏ん張ることさえ難しいような急斜面ということも。慣れないのこぎりを使っての間伐作業に、県民局の方々の指導を受けながら、おずおずと木を切り始めました。しかし時間が経つにつれて「生木を切るなんて初めて」「切り倒す瞬間がたまらないね」と、次第に作業に慣れて来た皆さんからの声が聞こえます。

森林保全ボランティア活動画像8午前中いっぱい作業を行って山を降りると、地元の方々がたっぷりの豚汁とおにぎり、そして名物である丹波の黒枝豆をどっさりと炊き出してくれていました。初秋の肌寒い空気の中で、アツアツの豚汁と旨みいっぱいの黒枝豆をほおばると、おいしさに顔もほころんできます。なかには「食べ過ぎで午後の作業ができないわー」と仰る方も。自然に話もはずんで、午後の間伐作業に向かうための元気が出てきます。

午後は、作業の続きです。のこぎりの扱いにも慣れ、休む間もなく次々と間伐に挑戦。中には直径10センチ以上、高さ20mほどの木を切り倒す参加者もいました。そして、切り倒した木々が山と積み上げられる頃には、見通しと風通しがよくなった斜面で、皆さん充実感いっぱいに風に吹かれているのでした。

森林保全ボランティア活動画像9今日一日の間伐だけでは、森のためにできることはわずかだったかも知れませんが、篠山の美しい里山の自然に触れて、この手で間伐をすることで、日本の森林の危機も実感することができました。今後は、わたしたちの身の回りにある箸、紙、建材などを使うとき、きっとその木材が産出された森に、自らが間伐した里山の姿を重ねて思いを馳せることでしょう。このように、わたしたちの生活が里山とつながっていることを、活動を通して体感する人が一人でも増えていくことが、里山保全への近道ではないかなと感じました。





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