秋晴れの活動当日。早朝のバスターミナルには、参加者の阪急阪神交通社ホールディングスグループの従業員やそのご家族が、集まっていました。和気あいあいとした様子の皆さんとバスに乗り、梅田から兵庫県篠山市まで向かいます。
篠山宮代に到着すると、そこには稲干しされた畑や紅葉の里山の風景が広がり、参加者の方々も気持ちよさそうに深呼吸しています。到着後は、関係者と参加者が一同に会したオープニングセレモニーと、「森林と林業」というテーマで日本の森の抱える問題についてのレクチャーが行われ、間伐作業の意義を再確認。そしていよいよ、各自のこぎりとヘルメットを装着して、今までの小旅行気分が一変。姿もさまになったところで、森林保全作業の開始です。
皆さん勇んで山に入っていきましたが、持ち場によっては、作業場が足を踏ん張ることさえ難しいような急斜面ということも。慣れないのこぎりを使っての間伐作業に、県民局の方々の指導を受けながら、おずおずと木を切り始めました。しかし時間が経つにつれて「生木を切るなんて初めて」「切り倒す瞬間がたまらないね」と、次第に作業に慣れて来た皆さんからの声が聞こえます。
午前中いっぱい作業を行って山を降りると、地元の方々がたっぷりの豚汁とおにぎり、そして名物である丹波の黒枝豆をどっさりと炊き出してくれていました。初秋の肌寒い空気の中で、アツアツの豚汁と旨みいっぱいの黒枝豆をほおばると、おいしさに顔もほころんできます。なかには「食べ過ぎで午後の作業ができないわー」と仰る方も。自然に話もはずんで、午後の間伐作業に向かうための元気が出てきます。
午後は、作業の続きです。のこぎりの扱いにも慣れ、休む間もなく次々と間伐に挑戦。中には直径10センチ以上、高さ20mほどの木を切り倒す参加者もいました。そして、切り倒した木々が山と積み上げられる頃には、見通しと風通しがよくなった斜面で、皆さん充実感いっぱいに風に吹かれているのでした。
今日一日の間伐だけでは、森のためにできることはわずかだったかも知れませんが、篠山の美しい里山の自然に触れて、この手で間伐をすることで、日本の森林の危機も実感することができました。今後は、わたしたちの身の回りにある箸、紙、建材などを使うとき、きっとその木材が産出された森に、自らが間伐した里山の姿を重ねて思いを馳せることでしょう。このように、わたしたちの生活が里山とつながっていることを、活動を通して体感する人が一人でも増えていくことが、里山保全への近道ではないかなと感じました。 |