今回取材に訪れたのは、阪急バス柱本営業所。
取材の最中にも、バスが頻繁に出入りする活気ある営業所でした。一通り取り組みに関するお話しを聞いた後で、仲さんが取り出したのは液体の入った2本のビン。
片方は、褐色になって少し沈殿物のある油。いつもキッチンで見る使用済みの食用油そのものです。もう片方は、蜂蜜のようなコハク色に透き通った油。これがバイオディーゼル燃料なんだそう。バスを走らせるためには、食用油をそのまま使うのではなく、油脂からグリセリンを除き、バスの燃料である軽油と同程度まで粘度を落とすための化学的な処理をする必要があり、阪急バスでは外部の企業にその工程を任せているといいます。しかし、加工しているとはいえ、食用油でバスが走るというのは少し不思議な感じです。
空色にラッピングされ、ウマカケバクミコさんのかわいらしいイラストが描かれたバスの後ろに回ってみると、排気ガスがほのかに香ばしいのに気が付きました。「なるほど、確かに食用油だ」とここにきてやっと納得。
阪急バスではさらに、取り組みを紹介するため車内にバイオディーゼル燃料のポスターを掲載したり、小学生に向けた環境教育の場に出張したりと環境啓発活動を行っています。バイオディーゼルに関しては、京都市などの一部地域で市民と自治体が一緒になって回収・リサイクルを進めていますが、阪急阪神ホールディングスグループという企業内で、こうした大々的なリサイクルシステムを作るのには苦労もあったようです。しかしその苦労が実り、他でも少ない100%のバイオディーゼル燃料をバス2台分、グループ内で確保した仲さんには、この取り組みに対する自信と誇りを感じることができました。 |