ゆめ・まち隊の突撃レポート

阪急不動産
「彩都棚田ファーマークラブ」
第2回は、阪急不動産が主体となった「彩都棚田ファーマークラブ」の活動に注目し、その中の一つ、「収穫祭」を取材しました。
(本ページの内容は、2008年12月時点のものです)

環境保全と地域活性化を両立させて
彩都地区外の休耕田で、地元農家と彩都住民が協働して田植えから稲刈りまでを行う「彩都棚田ファーマークラブ」。2002年から始まった前身の活動を引き継ぎ、現在は阪急不動産が主体となって酒米や野菜づくりを実施し、棚田という自然を守りながら地域の活性化を図っています。活動開始の背景について、阪急不動産の佐藤 武さんは次のように説明します。
「彩都については、最大の特徴でもある『自然豊かな里山』で、棚田や景観保全を行うとともに、住民間のコミュニティづくりをしたいと考えていました。ちょうどその頃、彩都の山手で酒米づくりをされていた茨木の酒蔵さんから“岩阪でも一緒にしませんか?”と打診を受けていましたし、地元岩阪でも自然保護活動を主とするボランティアグループが発足し、グループの代表から“地域を活性化させるためにも、酒米づくりを復活させたい”と伺っていました。立場は違っても、自然や地域を大切にしたいと願う気持ちは同じ。そこから農業体験イベント開催につながりました」。
 
阪急不動産 佐藤さん

活動を通じて地元農家と新住民との橋渡し役に
阪急不動産がこの活動に力を入れるのには、もう一つ大きな理由があると言います。「宅地開発を行う際、地元の理解や協力は必要不可欠。それがなければ、住民の方が移り住んできたとしても人々の交流のない寂しい街になってしまいます。地元農家と新たな住民の方との接点をつくり、お互いに信頼関係を築くためには交流の場が必要。そんな意味もあってこの農業体験というイベントは両者の橋渡し役を担っているのです」。今では地元農家の方もイベントを心待ちにしておられ、熱心に農業指導をされているそうです。
また、ここまで活動を続けてこられたのはボランティアのサポートも大きいと、佐藤さんは話します。「こういった楽しいイベント(収穫祭など)は年に数回ですが、畑は日々の手入れが欠かせません。そこで、イベントの常連の方々をはじめ、新住民の方に向けて畑の管理を呼びかけたところ、予想以上に大勢の方が手を挙げてくれました。棚田をはじめ、彩都の豊かな自然を守ろうという意識が根付いてきている証拠でしょうね」。
 

継続的な地域貢献へ
参加者には親子連れが多いそうで、「子どもに農業を体験させたい」「食の大切さを教えたい」というのが参加理由だとか。佐藤さんは、近頃の子どもたちが食べ物を粗末にするのは、食に対する“無知”が関係しているのではないかと話します。「今の子どもたちは、スーパーに行けば季節に関係なく、どんな野菜でも手にすることができ、ご飯も脱穀された白米しか見る機会がありません。つまり夏には夏の、冬には冬の野菜があるということも、お米がどのようにしてつくられるのかも知らないのです。そんな状況に危機感を抱いた親御さんが小さなお子さんを連れて参加されています」。
四季折々の自然を感じ、季節の野菜を自らの手で育てる。彩都棚田ファーマークラブの活動は、“環境保全”に加え、“食育”の観点からも有意義な社会貢献を果たしています。「棚田の活動をきっかけに、将来、彩都の環境を守る担い手が生まれたらうれしいですね。欲を言えば、岩阪の高齢化による農業従事者不足を解消する新たな人材が出てくれれば、それこそ大きな地域活性化につながりますから」と佐藤さんの期待も膨らみます。
 


行ってきました!社会貢献担当の当日レポート 彩都棚田ファーマークラブ「収穫祭」
10月25日の土曜日は、待ちに待った収穫祭! 前日まで雨が降っていましたが、皆さんの日頃の行いが良いせいか、当日はすっきりと晴れ渡りました。収穫祭では、まず酒米の稲刈りからスタート。小さい子どもたちは足元の泥を気にすることなく、大人に混じって稲刈りにチャレンジ。毎年参加している方はプロ級の腕前で、田んぼ一面に広がる稲は次々と刈り取られ、あっという間に束ねられていきます。
作業がひと段落したところで芋掘り大会が始まりました。顔を真っ赤にして大きなお芋を引っ張る子どもたちの姿は、見ているだけで笑みがこぼれてきます。その後はみんなで焼きたてのホクホクの焼き芋を食べます。久しぶりに感じる素朴な自然の味です。
イベント終了後、参加者の方にお話を聞くことができました。今年、初めてイベントに参加された池さんご家族は、以前のお住まいは大阪市内。昨年12月に彩都へ引っ越してこられました。「イベントに参加しようと思ったのは、親子一緒に体験できることや、子どもの教育面で大いに意味があると感じたからです。普段の食卓で目にする食べ物がどうやってできるのかとか、実際に自分でつくってみるとどれだけ大変かと、そういうことを知ることで初めて食べ物のありがたみがわかると思うんです。今、5歳の息子がいますが、裸足になって田植えをし、実った稲を一つひとつ刈り取った体験を大人になっても覚えていてくれると思います」。
また、参加者の中には、普段から畑の管理を行う池田さんご家族のような方もおられます。「3年前に茨木から引っ越してきまして、イベントの参加は今年で2年目。引っ越し当時は虫の多さに驚きましたね(笑)。でも、イベントに参加するようになって自然の生き物や食べ物が身近になり、子どもも野菜を好んで食べてくれるようになりました。それに参加されている方々はお子さんを連れたご家族が多く、親だけではなく子どもにとってもいいふれあいの場になっていますね。私もイベントを通じて食べ物を育てることがいかに大変かを知り、イベント以外でも毎週1度は畑の雑草抜きなど手入れをしています。今の自然を保つためにも日々の管理は大事ですから。」池さんと池田さんそれぞれに参加する目的を見つけられ、充実しておられる様子でした。
芋掘りの途中、農家の方から、昔よく食べていたという芋のつるの話を聞いていると、「それは何?」「炒めて醤油をかけると美味しいわよ」と、知らないお母様方が気軽に声をかけてくださいました。子ども達も、初めて会った大人や新しい友達と元気いっぱいに遊んでおり、この活動が地元のコミュニケーションづくりに一役かっていることを実感しました。




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