2010年7月3日、東京で行われた「大切な森林を守ろうフォーラム2010」。フォーラムは、東京農業大学の宮林茂幸教授の基調講演から始まりました。森や里山についてのお話と思って構えていたら、最初にお話いただいたのは健康な生活について。続いて現代の豊かさや生活の話。これは少し意外に感じましたが、講演を伺っているうちに、私達が生きていくための食料や水は環境からの恵みであること、森林と地域社会の関わりが昔は強かったが今はそうではないということなど、私達と森林との関わりの大切さについての話にどんどんつながっていきました。また、林業の衰退で回りの山村が過疎化し、日本人の原風景である里山の景観と文化が消えてしまうことなど、切実なお話も聞くことができました。こうした森林の危機から抜け出すためには何よりもまず、一人ひとりが森林を訪れ、考え、森林の資源を使うことで、都市と農山村がパートナーシップを結び共存していく必要があるというお話で講演は締めくくられました。
基調講演の後は、宮林先生をコーディネーターとしたパネルディスカッション。ディスカッションにはパネリストとして、これまで従業員を対象とした間伐ツアーでお世話になった兵庫県丹波県民局の方や、小菅村の方、自然体験インタープリター.(森の案内人)として奥多摩で活躍される方、山村再生支援センターで、企業と山村をつなぐお手伝いをされている方など、さまざまな立場で森林と関わっている人たちが参加。昔の森との関わりから始まり、森林の価値とは何か、パネリストの皆さんにとって森林とはどういう存在か、企業が森林を守るために出来ることとは・・・等、私たちが親しみやすい話や森林保全に対する悩み、今後の展望を話されました。共通していたのは、やはり私たちはもっと森林に興味を持ち、山村だけに対策を任せるのではなく、都市の人々や国そのものが連携していかなくてはならないのだという想い。間伐活動も、こうした私たち都市に住む人間と、山林を管理する人々を結びつける大事な活動なのだな、と再認識することができました。
フォーラム終了後、参加した来場者の方も、「街に暮らしていると、森のことを考えることは少ないけれど、確かに川や森のある里山は日本人にとって懐かしい風景なんだよね。森について私たちや行政も考えなくちゃいけない時が来ているんじゃないかな」と、真剣な面持ちで話してくださいました。今日参加してくださった方から、森のことを考える気持ちが広がっていくといいですね。
阪急交通社では、今年から一般の方を対象とした『間伐体験ツアー』を始めましたが、阪急阪神交通社ホールディングスでは企業の社会貢献として、従業員を対象とした間伐活動も継続していくとのこと。自ら間伐作業を体験することで、自然の危機を肌で感じることができるこの活動に、私も参加せねば!と思うくらい、心に残るフォーラムとなりました。 |