ゆめ・まち隊の突撃レポート

阪急阪神交通社ホールディングス・阪急交通社
「大切な森林を守ろうフォーラム2010」&「間伐1日体験ツアー」
第21回は、阪急阪神交通社ホールディングスが行う森林保全活動の一環であり、2010年7月に実施された「大切な森を守ろうフォーラム2010」と、2010年秋に阪急交通社が実施予定のエコツアープログラム「間伐1日体験ツアー」の企画をご紹介します。
(本ページの内容は、2010年10月時点のものです)

従業員の活動をモデルに、一般の方々にも参加出来るエコ活動を
現在大きな危機に陥っている日本の面積の67%を占める森林。第12回のレポートでもお伝えしたように、日本の森は木材から石油への燃料の転換や、輸入木材の増加による人工林の放置などによって、多くが荒廃しています。原生林とは異なり、昔から薪や材木などに利用してきた里山の森は、人が間伐などで手を加えなければ、地面まで太陽の光が差さなくなり、木々は枯れてしまうのです。これに対して阪急阪神交通社ホールディングスでは、2008年より山梨県の小菅村(こすげむら)と、兵庫県篠山市(ささやまし)の宮代地区でグループ従業員が間伐を行う森林保全ボランティア活動を行っています。2010年秋からは、この活動を従業員だけでなく一般のお客様にも向けて拡大しようと、阪急交通社がツアーを企画。このツアーに先駆ける形で、7月には小菅村での活動の際に協力を仰いだ、東京農業大学の宮林 茂幸教授を講師に迎え、東京で森林保全に関するフォーラムを行いました。
フォーラムの開催について、阪急阪神交通社ホールディングスの清水さんは「これまではグループ従業員を対象とした社会貢献活動として間伐を行っていましたが、参加した従業員から“とても楽しかった”“また次回も行きたい”という声が数多く寄せられました。こうした反響を受け、今回はこの間伐作業を、従業員だけでなく一般のお客様にも気軽に参加いただけるエコツアーとして行いたいと考えました。このフォーラムは、エコツアーのはじめの一歩。まずは日本の森林が抱える問題について、そして間伐することの重要性について、多くの方々に目を向けていただく機会となるようにと開催しました」。
阪急阪神交通社ホールディングス清水さん
講演中の宮林教授

豊かな自然と、温かな人の触れ合いを感じてほしい
一般参加型のエコツアーの企画を担当するのは、阪急交通社の角さんと生沼さん。生沼さんは、昨年の10月に小菅村で行われた従業員向けの間伐活動に参加しています。
「山登りは好きでしたが、実際に間伐作業に関しての知識はゼロ。参加してみて初めて、日本の森が危機に陥っていることを知りました。そのこと自体も新鮮で興味深いことだったのですが、なにより緑に囲まれ、多摩川の源流が豊かに流れる小菅村の自然や、やさしい地元の方々との触れ合いに感動したんです。エコブームも高まっている今、この感動を従業員だけでなくお客様にもぜひ体験していただきたいと思っています。」と語る生沼さん。
続けて、「基本的に今回の『間伐1日体験ツアー』は、従業員が行ったものと同様の内容にしたいと考えています。しかし初めて一般のお客様をお連れすることとなりますので、安全面の確保をはじめ、準備しなくてはならないことはたくさんあります。もちろん参加していただくからには“社会貢献をしている”というだけでなく、純粋にツアーを楽しんでいただけるような仕掛けも必要になってきます。小菅村の方々や協力をお願いしているNPO団体の方と協議を重ね、企画をさらにブラッシュアップさせて、“参加してよかった!”と思えるようなツアーにしたいと思っています」と意気込みを語ってくれました。
阪急交通社 生沼さん
昨年行われた間伐作業の様子

誰もがエコには興味あるけれど・・・
さらに、「エコや自然を大事にしようという思いは、誰もが持っていると思うんです。」と話す角さん。「自分の家でもごみを分別したり、節水したりといった個人でのエコ活動はできますが、それだけでなくもっと社会に対して働きかけたいと思っている人もたくさんいます。でも、いざそうした活動をしようと思っても、どうしたらいいかわからないというのが現実です。『間伐1日体験ツアー』に参加していただくことで、エコ活動を行っていただき、さらにエコに対する関心を深めていただくきっかけとなれば嬉しいですね」。
なお、今回の「間伐1日体験ツアー」の費用は3,000円。この費用には、往復の交通費や昼食代、小菅村の名物である小菅温泉への入湯料なども含まれているといいます。 角さんは「実際には、当社と阪急阪神ホールディングスが費用の半分以上を負担しているんです。第1回目ということもありますし、できる限りお客様が気軽に参加していただけるような価格設定としました。今回のツアーやフォーラムもそうですが、まずは皆さんがエコに親しめる環境を整えていくことも肝心だと思います。」と話してくれました。 今回のフォーラム、そしてツアーをきっかけとし、さらにサービスを広げていくという阪急阪神交通社ホールディングスのこの活動。今後、関東だけでなく関西や、日本の各地でも気軽に参加できるエコツアーが開催される日が来るかもしれません。
阪急交通社 角さん
ツアーの案内を行う生沼さん

行ってきました!社会貢献担当の当日レポート 阪急阪神交通社ホールディングス「大切な森林を守ろうフォーラム2010」

フォーラム 画像2010年7月3日、東京で行われた「大切な森林を守ろうフォーラム2010」。フォーラムは、東京農業大学の宮林茂幸教授の基調講演から始まりました。森や里山についてのお話と思って構えていたら、最初にお話いただいたのは健康な生活について。続いて現代の豊かさや生活の話。これは少し意外に感じましたが、講演を伺っているうちに、私達が生きていくための食料や水は環境からの恵みであること、森林と地域社会の関わりが昔は強かったが今はそうではないということなど、私達と森林との関わりの大切さについての話にどんどんつながっていきました。また、林業の衰退で回りの山村が過疎化し、日本人の原風景である里山の景観と文化が消えてしまうことなど、切実なお話も聞くことができました。こうした森林の危機から抜け出すためには何よりもまず、一人ひとりが森林を訪れ、考え、森林の資源を使うことで、都市と農山村がパートナーシップを結び共存していく必要があるというお話で講演は締めくくられました。

フォーラム 画像基調講演の後は、宮林先生をコーディネーターとしたパネルディスカッション。ディスカッションにはパネリストとして、これまで従業員を対象とした間伐ツアーでお世話になった兵庫県丹波県民局の方や、小菅村の方、自然体験インタープリター.(森の案内人)として奥多摩で活躍される方、山村再生支援センターで、企業と山村をつなぐお手伝いをされている方など、さまざまな立場で森林と関わっている人たちが参加。昔の森との関わりから始まり、森林の価値とは何か、パネリストの皆さんにとって森林とはどういう存在か、企業が森林を守るために出来ることとは・・・等、私たちが親しみやすい話や森林保全に対する悩み、今後の展望を話されました。共通していたのは、やはり私たちはもっと森林に興味を持ち、山村だけに対策を任せるのではなく、都市の人々や国そのものが連携していかなくてはならないのだという想い。間伐活動も、こうした私たち都市に住む人間と、山林を管理する人々を結びつける大事な活動なのだな、と再認識することができました。

フォーラム 画像フォーラム終了後、参加した来場者の方も、「街に暮らしていると、森のことを考えることは少ないけれど、確かに川や森のある里山は日本人にとって懐かしい風景なんだよね。森について私たちや行政も考えなくちゃいけない時が来ているんじゃないかな」と、真剣な面持ちで話してくださいました。今日参加してくださった方から、森のことを考える気持ちが広がっていくといいですね。

阪急交通社では、今年から一般の方を対象とした『間伐体験ツアー』を始めましたが、阪急阪神交通社ホールディングスでは企業の社会貢献として、従業員を対象とした間伐活動も継続していくとのこと。自ら間伐作業を体験することで、自然の危機を肌で感じることができるこの活動に、私も参加せねば!と思うくらい、心に残るフォーラムとなりました。





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