ゆめ・まち隊の突撃レポート

阪神ホテルシステムズ(ザ・リッツ・カールトン大阪)
「小児がん患児の家族のための宿泊施設の清掃」
第66回は、「小児がん患児の家族のための宿泊施設の清掃」における、ザ・リッツ・カールトン大阪の取組みについて紹介します。
(本記事の内容は、2018年6月時点のものです)

いろねこ食パンの誕生まで
日本では、毎年約2,000人のこどもが新たに小児がんと診断されています。治療は長期にわたる上、専門医が少なく、さらに治療ができる病院は大都市圏に集中しています。そんな中、2009年に「ペアレンツハウス大阪」が完成しました。
ペアレンツハウスとは、小児がんなど小児難病の患児と、その家族のための総合支援センターです。こどもと看病する家族が安価に宿泊できる施設でもあります。「小児がんは治療実績の多い病院が少なく、地方からの長期入院児も多い中、付き添いの保護者、主にお母さんは、小さなこども用ベッドの中で体を丸めて眠るか、病院のロビーで眠ることが多かったそうです。」と語るのは、「がんの子どもを守る会」ハウスマネージャーリーダーの柴田さん。自宅と、遠く離れた病院の二重生活は経済的負担も大きく、また自宅に残った家族やきょうだいにしわ寄せがいく場合もあります。
患児の家族を経済的・精神的に支援するために作られたペアレンツハウスは、建物や設備などで多くの方々から支援をいただきながら、「がんの子どもを守る会」が運営しています。
「がんの子どもを守る会」大阪事務所所長の上田さんによると「この会は1968年、小児がんでこどもを亡くした親たちによって設立され、今年50周年になります。今は小児がんの7〜8割が、治療を終えることができると言われています。とはいえ、現在もこどもの死亡原因の上位を占め、年間約500名の命が失われています」。ペアレンツハウスは東京に2か所、大阪に1か所あり、総合支援センターとして、小児難病と闘うこどもと家族に寄り添っています。

いろねこ食パンの《耳》を廃棄せず販売して寄付に
ザ・リッツ・カールトン大阪では、社会貢献プログラム「コミュニティ・フットプリント」の一環として、様々な地域貢献活動を行っています。その一環として、2017年からペアレンツハウスの清掃活動を実施しています。「個人的にボランティアとして行っていたスタッフから提案があり、『がんの子どもを守る会』の方にご相談して、清掃活動を始めました」と話すのは、ザ・リッツ・カールトン大阪 人事部の小野さん。「社内の掲示板などで募集告知をして、希望者が参加します。シフト制の仕事のため、希望者全てが参加できないのは、とても残念ですが、毎年参加する従業員もいます」。
当日は、まず「がんの子どもを守る会」の柴田さんから小児がんの概要、小児がんになったこどもや家族の思いなどのお話を聞き、その後で宿泊室の掃除にかかります。この日の参加者7名は2チームに分かれ、掃除道具を受け取り、スタート。掃除の作業内容が書かれたチェックシートを確認し、連携しながら丁寧に掃除を行います。「家族の方の笑顔のために、少しでもサポートできたらと思い、参加しました。ペアレンツハウスには、埃のアレルギー疾患などを持つ患児もいるから、元々きれいな部屋ですが、普段できない細かい箇所も掃除することを心がけました」と話すのは、ザ・リッツ・カールトン大阪の國司(くにし)さん。

社会に出るための大切な礎に
「がんの子どもを守る会」の柴田さんは「患児と家族のことを思いながら、丁寧に清掃作業をしておられる姿に、とても勇気づけられました」と語ります。「患児と家族の方は、大変なことも多いけれど、決して『かわいそう』とは思わないでほしい。分けへだてなく付き合っていけるような社会になればと願っています」と、将来への思いも話していただきました。
がん患児とその家族に、少しでも笑顔で過ごしていただきたい。これからも、ザ・リッツ・カールトン大阪は、ペアレンツハウス大阪の清掃活動を通して、がん患児と家族の方が笑顔で過ごせるように、サポートしていきます。

行ってきました!社会貢献担当の当日レポート 

6月下旬、大阪市中央区にあるペアレンツハウス大阪に伺いました。入館時、まず受付で手を消毒、体調不良などはないかチェックシートに記入し、さらに洗面所で手を洗います。免疫力が低下している患児のための配慮が徹底されているなと感じました。
清掃前、「がんの子どもを守る会」の柴田さんに伺ったお話では、入院時に付き添うお母さんの、ベッドがなく眠る場所にも苦労していること、自宅に残るきょうだいが、自分は大切にしてもらえないと、自己肯定感が低くなってしまうこともあると聞き、本当に胸が痛みました。「ただし、決してかわいそうと思わないで欲しい」という言葉にも、はっとさせられました。

ある家族は、土日にお父さんがきょうだいを連れてハウスにやって来て、お父さんは病院で患児と過ごし、お母さんはここで久しぶりに会うきょうだいとの時間を大切にして過ごすのだそうです。患児とその家族にとって安らぎの場所「ペアレンツハウス大阪」。その宿泊室の清掃活動をするザ・リッツ・カールトン大阪の皆さんは、チームワークも万全、手際よく、心を込めて作業をされていて、私も多くの刺激をいただきました。この清掃活動を通じて、小児がんの患児とその家族の方が、少しでも快適に過ごされることを願う取材になりました。



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