熊野古道の中でも中辺路のクライマックスに近い場所にある「水呑王子」。
取材に訪れた日は雨模様となりましたが、それでもレインコートを羽織り、参詣コースを歩く観光客がたくさんいらっしゃいました。
熊野本宮観光協会の菊池会長によれば、これが年間を通して雨量の多い「熊野らしい」天気なのだそう。たしかに、山特有の澄んだ空気の中、目にまぶしい新緑に包まれた木立を濡らす雨は、とても風情があります。雨に濡れる山道を暫く歩くと、今回寄贈したログハウスタイプのトイレが、景観に馴染むように設置してあるのを見つけました。
実際にトイレの中に入ってみると、オガクズの持つ木のよい香りが。屋外観光地のトイレというと、管理が行き届いてないことが多く、「臭い」「汚い」というイメージが先行し、つい敬遠する方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今回の環境保全型トイレであれば、においや衛生面の問題も解消できるということですので、観光客の方々にとってはまさに朗報となることでしょう。
セレモニーを取材して、世界文化遺産・熊野古道の自然保護と観光資源利用の両立を図ろうという地元熊野の方々の使命感を強く感じました。熊野古道に限らず、自然や歴史を大切にする観光地は、どこもトイレの設置についての問題を抱えているでしょうから、環境保全型トイレ寄贈の取り組みは、まだまだ日本全国のいろいろな場所に広がっていきそうです。 |