新線の事業化で沿線価値のさらなる向上、
ひいては大阪・関西、日本の発展にも貢献したい

#5 新線プロジェクト

三神 浩平

2006年入社
阪急電鉄(株) 都市交通事業本部 交通プロジェクト推進部/課長

阪急電鉄(株)運輸部、同技術部にて現場見習を経験した後、連続立体交差事業、駅バリアフリー化事業などの計画・設計・施工管理を担当。同都市交通計画部にて新線・新駅・駅大規模改良計画の立案・推進にも携わる。その後、北大阪急行電鉄(株)での箕面延伸事業の設計・施工管理を経て、2019年4月より現職。

青島 一政

2018年入社
阪急電鉄(株) 都市交通事業本部 交通プロジェクト推進部

阪急電鉄(株)運輸部での現場見習を経て、同社交通プロジェクト推進部アセット管理担当として自社所有地の管理業務に携わる。2020年4月より同部交通まちづくり担当となり、なにわ筋連絡線・新大阪連絡線の計画業務を担当。

※掲載情報は取材当時(2020年)のものです。

Prologue

阪急阪神ホールディングスでは現在、2025年までの長期ビジョンに掲げる「関西で圧倒的No.1の沿線の実現」に向け、JR西日本がうめきたエリアに建設を進めている新駅(JR大阪駅と改札内で接続、以下「JR大阪駅」)から十三駅を結ぶ〈なにわ筋連絡線〉および十三駅から新大阪駅を結ぶ〈新大阪連絡線〉の新線整備の検討が進められている。

この背景には国が推進するスーパー・メガリージョン構想(リニア中央新幹線の開業により首都圏・中部圏・関西圏の三大都市圏を一体化して巨大経済圏を創造する計画)があり、新大阪駅はその西の核と目されている。新線が実現すれば〈新大阪連絡線〉を介して新大阪駅と阪急沿線を、〈なにわ筋連絡線〉を介して関西国際空港と阪急沿線を結ぶことが可能になり、沿線のさらなる価値向上につながる。そんな一大プロジェクト(ここでは【新線プロジェクト】とする)に名を連ねるのが三神さんと青島さんだ。

新線計画は50年前から!?
国・自治体・他の鉄道事業者とともに事業化を目指す

三神
都市再生緊急整備地域の候補地域に指定される新大阪駅周辺は、大阪府と大阪市が進める新しいまちづくりの要衝となっており、広域ネットワークのハブ拠点として、そして、国土軸と大阪都市軸のクロスポイントとして重要視されています。こうした特性を生かし、府や市は新大阪周辺地域にビジネスや観光の拠点、国際都市といったさまざまな機能を持たせ、日本ひいてはアジアの発展に向けたまちづくりを推進しようとしています。また、近年のインバウンドの後押しに伴い、関西国際空港から関西を訪れるお客様が増えてきております。【新線プロジェクト】はそれらの交通ネットワークの一翼を担うべく、新大阪や関西国際空港へのアクセス機能の強化や災害等の発生時における移動手段の多重化などに寄与するプロジェクトとなっています。
都市再生緊急整備地域
青島
確か2017年に〈なにわ筋連絡線〉の新線計画の話が発表されたんですよね。私はちょうどその頃、就職活動をしていて、新線に携わってみたいと思ったのも当社を志望する動機になりました。ただ、〈新大阪連絡線〉の計画はもっと以前からあったとも聞きましたが……
三神
そうなんです。新大阪連絡線は50年以上前から計画がありましたが、さまざまな事情からなかなか進みませんでした。しかし、現在事業が進められているなにわ筋線の整備効果をより高める目的として〈なにわ筋連絡線〉の調査・検討を進めていくことが2017年に公表され、その後、国土交通省による〈なにわ筋連絡線〉と〈新大阪連絡線〉に関する調査の結果を踏まえ、両路線を一体的に整備することを検討していくこととなりました。現在、詳細のルートや駅位置、適用する制度、整備後の運用などの検討を進めており、私は技術的な検討、青島さんは事業の仕組み等を検討するメンバーの一員としてプロジェクトを推進しています。
なにわ筋線

千載一遇のチャンス!
社内でも前例が少ない地下新線への挑戦

青島
三神さんと私は同じプロジェクトのメンバーですが、担う役割が異なります。三神さんの業務内容を教えてください。
三神
私はこのプロジェクトに配属されるまで北大阪急行電鉄で箕面延伸事業を担当していました。その経験も踏まえて、現在は技術的な検討を担っており、新線の詳細ルートや駅位置・レイアウトの検討、それらを整備するために必要な事業費・工期の算出を行うとともに国や地方自治体、鉄道事業者との協議・調整に携わっています。
箕面延伸事業
青島
なるほど。ところで、箕面延伸事業ではどんな経験をされたのですか?
三神
延伸区間に新たに作る構造物の設計・施工管理等を担当していました。【新線プロジェクト】では、全区間を地下形式で作ることを想定しており、現在の十三駅の地下部分に新線のホームを建設する計画としていますので、延伸事業での経験を生かせるのではと思っています。しかし、社内で地下新線の設計・施工管理に携わった経験がある人材は限られますし、地下の工事には不確定要素、例えば地盤の沈下や工事の支障物の発見などもあると思うので、慎重な検討が不可欠になるでしょう。また、今回は十三駅やJR大阪駅など普段お客様がご利用されている場所のすぐそばで工事を行うため、お客様の安全や利便性を確保しながら工事を行うことが求められる一方、工期や工事費もできるだけ抑えなければならないのが難しいところですね。青島さんが普段携わっている業務についても紹介してください。
青島
私は新線をどのような仕組みで実現するか検討するとともに、三神さん同様、国や地方自治体、関連する鉄道事業者との協議を行っています。【新線プロジェクト】は工事の完了が終わりではなく、その後も継続して運営していくものなので、鉄道運営の全体像をとらえた上で計画を作り上げる必要があります。当然ですが、所属している部署だけで完結する案件ではないので、社内各部と相談しつつ、また勉強もしながら検討を進めています。また、多岐にわたる関係者との協議・調整は容易ではなく、なかなか進捗しないことを実感しています。

日々の積み重ねがプロジェクト成功のカギ。
今はしっかりと地歩を固めたい

三神
青島さんは今回の仕事で、これまでの経験が生きていると感じることはありますか?
青島
学生時代に都市計画について学んだ知識をベースに、入社1年目の車掌・運転士見習で鉄道の最前線を知り、入社2年目に鉄道部門における用地管理の考え方や用地の観点から見た鉄道プロジェクトについて知見を広められたことが役立っていると感じています。それに新線に携わることは入社前からの憧れでもあったので、このプロジェクトに参加できたのは大きなチャンスだと思っています。
三神
青島さんは3年目ですよね。若手に早くからチャンスを与えるのは当社の伝統のようなもので、私も同じくらいのころに大きなプロジェクトを担当していたことがあり、とても勉強になりました。でも、これだけのプロジェクトで責任ある役割を任されるのはプレッシャーではないですか?
青島
一大プロジェクトですので当然プレッシャーはありますが、コツコツと積み重ねている検討や打ち合わせの一つひとつが新線の在り方を形づくる業務であるという意義を日々実感しています。
三神
私もそれは同感です。【新線プロジェクト】という一見、派手で見栄えの良い事業も、毎日の地道な作業の積み重ねの上にありますからね。鉄道は、運転士や車掌、駅係員などの運輸関係の職員、駅や線路、機械・電気設備などを保守している技術関係の職員など、多くの方が携わっており、そういった方々が一つ一つの作業を着実に行うことにより、日々の安全運行を実現しています。1人で考えられることや実現できることは限られていますから、上司や部下、社内外を問わずさまざまな方々とコミュニケーションを重ねることが大切。そうすることで多くの知恵が生まれ、活用され、より良い計画が立案されていくのだと感じています。では、青島さん、最後に今後の目標を教えてもらえますか?
青島
まずは、早期の事業化を目指していきたいです。なにわ筋線、リニア中央新幹線、北陸新幹線など多くの事業が進捗している関西の事業環境の中でも、時機を逃さぬよう【新線プロジェクト】の検討を進め、当社の沿線だけでなく関西全体の発展にも貢献できる新線を作り上げたいと思います。三神さんの目標もぜひ教えてください。
三神
私もまずは、【新線プロジェクト】を早期に実現できるよう頑張りたいと思います。結果、当社沿線に住んでみたい、行ってみたいと多くの方に思ってもらえるような沿線づくりを実現することが目標です。当社沿線のファンが一人でも増えてくれたらうれしいですね。ゴールまでの道のりは長いですが、一緒に頑張りましょう!

Epilogue

リニア中央新幹線全線開業は今からおよそ20年後。未来の大阪・関西を、日本を変えるプロジェクトはまだ始まったばかりだが、三神さん、青島さんからは並々ならぬ情熱を感じた。これから事業化を目指すということは今後さらに加速するプロジェクトとも言えるわけで、新たに入社する人材にとっては大きなチャンス。新線プロジェクトチームが切り開いてくれた道を、ゴールに向かってより進化させることができるだろう。