毎日乗っている電車が、実は地球にやさしかった話——阪急電鉄と、脱炭素をはじめよう

大気中に排出される温室効果ガスを、2050年までに世界全体でゼロにしようという「カーボンニュートラル」。地球を守るために大切だとわかっていても、一体何をすればいいのかと戸惑う方も多いのではないだろうか。そこでご紹介したいのが、阪急電鉄のサステナビリティの取組だ。阪急電鉄が沿線の環境に対して何を思い、どんな価値を提供できるのか。様々なプロジェクトを率いる担当者にその想いを聞いた。

阪急電鉄株式会社 都市交通事業本部 都市交通計画部 課長 畑田 芳隆

《PROFILE》

畑田 芳隆(はただ よしたか)
阪急電鉄株式会社 都市交通事業本部 都市交通計画部 課長
阪急沿線の"公共交通を軸としたまちづくり"に取り組み、サステナビリティの推進において中心的な役割を担っている。
(所属や肩書は2026年2月時点のものです。)

"ウェルビーイング(=よりよい暮らし)"こそ、阪急電鉄のDNA

「そもそも、創業者の小林一三が鉄道事業を始めたきっかけは、"暮らしやすい社会・生活を提供したい"という強い想いからだったんです」。こう話すのは、阪急電鉄のサステナビリティを推し進める畑田氏。

「当社が開業した1900年頃の大阪市内は、工業化による大気汚染がひどく、とても暮らしやすいとは言い難い環境だったんです。そこで小林一三は、空気がきれいな郊外に鉄道を引いて都心に通えるようにすると同時に、沿線に住宅を建てて"まち"をつくろうと考えました。つまり、今日まで続く阪急電鉄のビジネスモデルは、すべて"ウェルビーイング"が基礎になっているんですよ」

阪急電鉄が大切にしてきた『暮らしやすさ』を今の時代に置き換えて考えると、"地球温暖化"という社会課題は決して避けては通れないものである。サステナビリティに力を入れるのは、阪急電鉄にとって至極当たり前のことなのだ。

まずは知ってほしい、『電車のチカラ』!

では阪急電鉄は、鉄道事業者として"カーボンニュートラル"にどう貢献していけるのか。その答えは、とても単純明快なものだった。

「電車はその名前の通り、電気で動く乗り物です。排出されるCO₂の量は、自家用車と比べるとわずか10分の1!鉄道事業自体が、実はものすごく環境にやさしい事業なんです。言い換えれば、お客様に自動車ではなく鉄道をご利用いただくことで、私たちは脱炭素に貢献できることになるんですよ。
けれどここでひとつ、気がついたことがありました。それは、『電車が環境にやさしい移動手段である』という事実が、社会にはまだ十分に知られていないこと!環境問題に取り組む方々からも「自動車と比べて2~3割ほどしか減らないんでしょう」と言われた時は、正直驚きましたね」。

まずはこの事実を広く知っていただくことを、阪急電鉄がやるべき"サステナブル活動の最初の一歩"と考え、プロジェクトは動き始めました。

2025年4月『全線カーボンニュートラル運行』への道のり

全線カーボンニュートラル運行ラッピング列車

阪急阪神全線カーボンニュートラル運行記念ラッピング列車

鉄道が脱炭素に貢献できる乗り物だということを知っていただくために、阪急電鉄では2008年に「エコトレイン 未来のゆめ・まち号」というラッピング車両の運行を開始し、環境にやさしい電車の魅力を、目に見える形で発信してきた。この取組はさらに進化を続け、2020年9月から現在に至るまで、"SDGsトレイン 未来のゆめ・まち号"として現在も運行中だ。日々の通勤やお出かけの際に目にされた方も多いのではないだろうか。

もちろんこうした"見える化"の取組だけではない。阪急電鉄では長年にわたり"カーボンニュートラルを実現させるため"の様々な取組を行ってきた。



摂津市駅の外観・太陽光パネル

摂津市駅の外観・太陽光パネル

2010年3月には「日本初のカーボン・ニュートラル・ステーション」として、阪急摂津市駅を開業。太陽光発電や雨水の利用、LED照明などを取り入れ、駅の運営に関するCO₂排出量実質ゼロを実現した。さらに、既存車両よりも使用電力量を約60%削減できる「新造車両VVVF」の積極的な導入や、京都トンネルおよび地下駅の大規模なLED化などにより、鉄道使用電力量の大幅な削減に成功。2013年からの10年間で、約7000万kWhの省エネを達成している。

「中でも、新造車両の更新は効果が大きい。旧車両と比べると使用電力が約6割減らせますし、機能の向上によってCO₂排出量も大きく削減できました。」と畑田は振り返る。
これら多くの取組が、2025年4月の阪急阪神全線カーボンニュートラル運行の実現へとつながった。現在、関西全域約193㎞を走るすべての電車が、実質再生可能エネルギー100%で運行し、すべての駅から出るCO₂も実質ゼロとなっている。

地域とともに取り組むことに、意味がある!

阪急ソラエル 阪急電車オリジナルの応援グッズ

阪急ソラエル 阪急電車オリジナルの応援グッズ

「脱炭素社会は、地域に暮らす方一人ひとりの意識や行動が変わってはじめて実現できるもの。そのためにはやはり、"鉄道って地球にやさしいんだ"と知っていただき、公共交通をご利用いただく機会を増やしていくことが重要なんです。とはいえ、カーボンニュートラルの車両を見ても、"CO₂が出ていない"なんて分かりませんよね。だからこそ、分かりやすい方法で伝えることも大切だと考えています。」

そうした思いから生まれたのが、『阪急ソラエル』だ。これは、いわば"太陽光パネル設置応援プロジェクト"。阪急電鉄オリジナルの応援グッズをご購入いただき、その代金の一部を、駅やホームの太陽光パネル設置費用に充てるという取組である。

「阪急電車の座席のシートをリサイクルして使ってつくったスツールやトートバッグを販売したところ、予想を超える反響がありスツールについては即日完売し、私たちも驚きました。26年度は、また新たな応援グッズを企画しています!」とのこと。新商品の発売を、ぜひ楽しみにお待ちいただきたい。



余剰電力買取プログラム「阪急エネトス」

もうひとつ紹介したいのが、『阪急エネトス』である。これは、大阪ガスとの連携による"卒FIT再エネ電力の買取プログラム"で、ご自宅や事業所などに太陽光発電設備を設置している方に対して、FIT制度の適用期間を終えた余剰電力を阪急電鉄が買い取るという取組だ。

余剰電力買取プログラム「阪急エネトス」 イラスト

「ソラエルもエネトスも、地域の方と一緒にサステナブルに取り組めるように考えた仕組みです。"環境を守る"といっても、なかなか自分事として考えるのは難しいもの。それを"これなら自分も参加できる"と感じていただくことに大きな意味があると思うのです」

少しでも環境問題に関心を持つきっかけとなり、そこから"電車に乗ること=サステナブル"なんだと気づいてもらいたい——それが、プロジェクトを推進するチームの想いだ。

ほんの小さな気づきから、街は変わり、社会が変わる。

関西まちウェル イラスト

2025年5月、阪急電鉄の働きかけにより、阪急電鉄とJR西日本、Osaka Metroの鉄道事業者3社で構成する『関西まちWe'll』が組成された。ミッションは、関西をより住み心地のよい"ウェルビーイングな地域"にすること。そのために、関西全域の自治体とも順次連携しながら、脱炭素社会の実現を目指していく。

「この取組も、ベースには『鉄道が環境にやさしい移動手段なのだと、広く知っていただく』という強い想いがあるんです」

地球を守るためにできること。阪急電鉄はこれからも、沿線の暮らしとともにその答えを探し続けていく。






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