脱炭素(気候変動)
Carbon neutrality (Climate change)
――取組の方向性――
サプライチェーンを超えた「社会全体の脱炭素化の推進」
ありたい姿

当社グループにおける脱炭素の推進
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、新しい技術を取り入れながら、着実に省エネに取り組むとともに、創エネルギー・再生可能エネルギー(環境価値)の活用を進め、温室効果ガス排出量を削減する。

モーダルシフトによる社会の脱炭素の促進
公共交通を軸としたまちづくりを推進し、鉄道を中心とした公共交通の利用を促進するとともに、駅までのラストワンマイルに便利なモビリティ(レンタサイクル・EVバス等)と組み合わせることで、移動による環境負荷の軽減に貢献する。
KPI
| 指標 | 目標値 | 範囲 | 2024年度実績 |
| 温室効果ガス(GHG)排出量 (Scope1・2) |
2019年度比60%削減(2035年度) 実質ゼロ(2050年度) |
当社及び連結子会社 |
2019年度比 10.4%削減 |
| 電力の再エネ比率 | 90%以上(2035年度) | 国内のみ | 22.3% |
| サプライチェーン上のGHG排出量(Scope3) | 算出を継続し、取引先と共に削減を検討 | 当社及び連結子会社 | 4,164,386t-CO₂ |
| 鉄道事業(阪急・阪神)の GHG排出削減貢献量※ | モニタリングを実施 | 阪急電鉄 阪神電気鉄道 |
1,207,445t-CO₂ |
※鉄道事業(阪急・阪神)のGHG排出削減貢献量:削減貢献量とは、製品・サービスの普及を通じ、企業が社会全体のCO₂を含む温室効果ガス排出削減にどれだけ貢献したかという"貢献量"を定量的に評価しようという考え方。温室効果ガス排出抑制の考え方の一つ。阪急電鉄・阪神電気鉄道の2社の路線(計約193km)を対象に算出。比較対象は、対象路線のお客様の移動距離のすべてにおいて、自家用車の利用による移動が行われたと仮定した状況。鉄道脱炭素官民連携プラットフォームの利用促進・見える化WGによる「旅客の鉄道利用に係るCO₂排出量の算定ガイドライン」(2024年3月)に基づき算定(自家用車利用による輸送人キロあたりのCO₂排出量は、国土交通省ウェブサイト「運輸部門における二酸化炭素排出量」から引用)
・2030年度を目標年度とする指標は以下のとおりです。
当社及び子会社の国内事業所におけるCO₂排出量(Scope1・2) 目標:2013年度比46%削減(2030年度) 2024年度実績:2013年度比37.6%削減
温室効果ガス(GHG)排出量
当社グループの温室効果ガス(GHG)排出量

詳細は「サステナビリティデータブック」で開示しています。
TCFD提言に基づく情報開示
当社グル一プは、2021年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」へ賛同の意を表明し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の各項目に沿った情報開示を進めています。今後も、気候変動への対応を事業戦略に組み込み、事業の強靱性を高めることで、脱炭素社会への移行を着実に推し進めていきます。
グループの主な取組
当社グループにおける脱炭素の推進
カーボンニュートラル運行
鉄道事業では、2025年4月から阪急・阪神全線の列車運行及び駅施設等で使用する全ての電力を実質的に再エネ由来の電力とし、CO₂排出量実質ゼロで運行しています。この取組により、年間約20万tのCO₂排出量削減を見込んでいます(2023年度実績換算)。さらに、阪急電鉄ではコーポレートPPA※を活用して、追加性のある再エネ電力を導入しており、阪神電気鉄道でも、2026年度より導入予定です。
※「Power Purchase Agreement」(電力購入契約)の略

カーボンニュートラル運行を記念するラッピング列車
(左:阪急電鉄 右:阪神電気鉄道)
鉄道・駅における省エネルギーの取組
当社グループでは、エネルギー使用において、鉄道の運行に係るエネルギーが約40%を占めるため、鉄道の運行における省エネの取組を重要視しています。
阪急電鉄・阪神電気鉄道では、車両機器メーカーとの開発協議などを行いながら、省エネ性能の高い車両の導入や更新に注力しています。
例えば、阪急電鉄・阪神電気鉄道では、最新の省エネ性能が最も高い車両において、モーターに全閉式高効率主電動機を用いた高効率のVVVFインバータ制御装置のほか、前照灯を含むすべての照明機器にLED照明を採用し、従来型車両と比較して約60%の消費電力削減を実現しています。


省エネ車両(左:阪急電鉄 2000系 右:阪神電気鉄道 普通5700系)
太陽光パネルの設置
当社グループの各施設では、再生可能エネルギーの活用として、太陽光発電設備の設置を進めています。
都市交通事業
阪急電鉄:摂津市駅、西宮北口駅、正雀工場
阪神電気鉄道:大石駅、大物駅、杭瀬駅、尼崎センタープール前駅
不動産事業
HEPファイブ、阪急西宮ガーデンズ、大阪梅田ツインタワーズ・サウス、Hankyu Hanshin Logistics Centre(シンガポール物流倉庫のオンサイトPPA)
エンタテインメント事業
阪神甲子園球場、ゼロカーボンベースボールパーク(日鉄鋼板 SGLスタジアム 尼崎等)

阪急 西宮北口駅

阪神 大石駅
また、阪急電鉄では、お客様と一緒に環境に配慮したまちづくりを目指し、駅舎への太陽光パネルの設置をお客様に応援いただくプロジェクト「阪急ソラエル」を2025年6月から開始しました。お客様に応援グッズをご購入いただき、その売上を太陽光パネルの設置費用の一部に活用させていただく取組です。

太陽光発電での余剰電力買取プログラム「阪急エネトス」
阪急電鉄では、大阪ガスと連携して、ご家庭での太陽光発電の余剰電力(卒FIT再エネ電力※)を同社が買い取るプログラム「阪急エネトス」を2025年7月から開始しました。
ご家庭の余剰電力が阪急電鉄のカーボンニュートラルに貢献します。ご参加いただいた方には商品券等を進呈します。
※FIT(再エネ固定価格買取制度)適用期間を終えた太陽光発電システムで発電された余剰電力

沿線のお客様や自治体と連携した地域の脱炭素化
阪急電鉄は、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)、大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)と「地域脱炭素推進コンソーシアム 関西まちWeʻll」を組成し、沿線自治体と連携した地域の脱炭素化の推進に取り組んでいます。大阪市など15自治体との連携協定に基づくプロジェクトとして、2025年9月からJ-クレジット創出プロジェクト「関西エネワ」を開始しました。沿線地域のご家庭や事業者に、太陽光パネルで発電された電力のうち自家消費電力に含まれる環境価値を提供いただき、J-クレジットを創出するもので、創出したJ-クレジットは公共交通のCO₂排出量のオフセットに充て、環境負荷のさらなる低減を図るなど、各社で脱炭素施策に活用します。

コーポレートPPAの導入
2024年7月に宝塚大劇場・宝塚ホテル、2025年3月に阪神甲子園球場で使用する電力について、コーポレートPPA※を活用して、追加性のある再エネ電力に切り替えました。この取組により、宝塚大劇場・宝塚ホテルでは年間約4,600t、阪神甲子園球場では年間約3,000tのCO₂排出量削減を見込んでいます。
※「Power Purchase Agreement」(電力購入契約)の略

オフィスビル・商業施設等への再生可能エネルギー由来の電力の導入
2022年4月に大阪梅田ツインタワーズ・ノース/サウスの両ビルにおいて、実質的に再エネ由来の電力を導入※1しました。対象物件を拡大し、2025年度には大阪梅田地区及び阪急阪神沿線で運営するオフィスビル・商業施設等※2における電力使用量※3の大部分を実質的に再エネ電力に置き換えました。
※1 共用部とオフィス専用部の双方に導入。
※2 建替・再開発予定の物件、使用電力が極めて小さい物件、当社グループがエネルギー管理権原を有しない物件等、一部の物件を除く。
※3 ガスコージェネレーションシステムによる自家発電分を除く。

大阪梅田ツインタワーズ・ノース

大阪梅田ツインタワーズ・サウス
エネルギー効率を測定するビル管理システム(BEMS等)の活用
大阪梅田ツインタワーズ・サウスでは、BEMSによりエネルギー使用量・効率を「見える化」してビル設備の省エネ運転・制御に役立てているとともに、発電効率の高い「コージェネレーションシステム」、建物の外部に近いゾーンから執務室にかけて段階的な温度設定を自動的に行う「シークエンス空調」、デシカント(乾燥剤)で空気中の湿度をコントロールすることにより空気環境を整える「デシカント空調」等により、快適性を維持しながら省エネを促進しています。また、当ビルではテナントも貸室内の日ごと・時間ごとのエネルギー使用量をウェブ上で確認でき、トレンドや対前年比較等のグラフ化も可能な、一歩進んだ「見える化」システムを実現しています。これにより、テナントの省エネ意識の向上を助け、日々の省エネ活動が行える仕組みを構築しています。

大阪梅田ツインタワーズ・サウス 12階WELLCO
EVバスの導入・エコドライブの推進
阪急バスでは、2021年10月から大阪大学学内連絡バスとして2両のEVバスを導入しました。現在では千里営業所管轄路線で2両、茨木営業所管轄路線で12両、猪名川営業所所管で4両運行しています。
阪神バスでも、2023年5月からEVバス2両の運行を開始し、現在では合計6両運行しています。これは兵庫県内の乗合路線バスとしては初の事例となります。
阪急バス・阪神バスをはじめとしたグループ各社では、従業員への教育をはじめ、アイドリングストップ装置のついた車両の導入やエコドライブコンテストの開催など、さまざまな取組を通じて、エコドライブを推進しています。

阪急バス

阪神バス
環境配慮型建物(グリーンビルディング)の拡大
環境・社会への配慮がなされた不動産に対して付与される認証の取得を推進し、環境へ配慮した建物の拡大に取り組んでいます。
「DBJ Green Building認証」
5つ星:大阪梅田ツインタワーズ・サウス、阪急西宮ガーデンズ、HEPファイブ
3つ星:神戸三宮阪急ビル
CASBEE不動産評価認証
Sランク(最高位):ロジスタ・ロジクロス茨木彩都 A棟 B棟
CASBEE大阪(大阪市建築物総合環境評価制度)
Sランク(最高位):大阪梅田ツインタワーズ・ノース
ZEB
ZEB Ready:ロジスタ・ロジクロス茨木彩都B棟、ロジスタ京都上鳥羽

ゼロカーボンベースボールパーク
2025年3月、阪神タイガースのファーム施設を尼崎市・小田南公園へ移転し、「ゼロカーボンベースボールパーク」として開業。「日鉄鋼板 SGLスタジアム 尼崎」、タイガース練習場、室内練習場、選手寮兼クラブハウス「虎風荘」を新設しました。「ゼロカーボンベースボールパーク」では、太陽光発電・蓄電池の導入や廃棄物発電の活用、省エネ徹底による「脱炭素化」、ペットボトル・プラスチックカップの回収・リサイクルや雨水・井水の活用といった環境に配慮した取組を行っています。
なお、「日鉄鋼板 SGLスタジアム 尼崎」はZEB Oriented※1認証を、「室内練習場・虎風荘(1階部分)」はNearly ZEB※2認証を、野球施設としては初めて取得。また、「ゼロカーボンベースボールパーク」は、環境省の「第1回脱炭素先行地域※3」 に選定されています。

※1 延べ面積が10,000㎡以上の建物で、基準一次エネルギー消費量から40%または30%(建物用途による)以上のエネルギー 消費量削減に適合した建築物に与えられる認証
※2 基準一次エネルギー消費量から75%以上のエネルギー消費量削減に適合した建築物に与えられる認証
※3 2050年カーボンニュートラルに向け、先行的な取組により、家庭や店舗・ビル等(民生部門)での電力消費に伴うCO₂排出量を実質ゼロにすることなどを実現する地域として、環境省が選定するもの。
モーダルシフトによる社会の脱炭素の推進
環境負荷の低い交通ネットワークの形成
鉄道は、自家用乗用車に比べ、輸送量あたりのCO₂排出量が約1/7と、環境負荷の低い交通機関です(特に、阪急電鉄・阪神電気鉄道は、都市部を走っているため約1/8。なお、2025年4月からは、両社は全線カーボンニュートラル運行を開始しており、CO₂排出量は実質ゼロ。)。公共交通の利便性が向上することで、自家用乗用車の利用が抑制されれば、我が国における運輸部門のCO₂排出量が削減されます。阪神なんば線や北大阪急行電鉄の延伸に代表されるような鉄道ネットワークの拡充に今後も努めるとともに、バス・タクシーはもちろんのこと、レンタサイクル・駐輪場などの自転車の利用環境の充実を通じて、「駅まで」や「駅から」の交通手段をより便利にし、公共交通を軸とした環境負荷の低い交通ネットワークの形成に取り組んでいます。
